Nostalgic Dream Girl

この心臓を君に捧ぐ

優しい声で誘惑わせないで 貴方のモノと妄想わせないで

 

 全部捨てれると思ってた。もう全部捨てたんだと思ってた。
 私はあの人のことが大好きで、大好きで大好きで仕方ないから、どうしたって諦めきれないから今も生きててこんなになって、それでもまだ好きなままなんだってずっと思ってた。
 でも本当は全然そんなことなくて、あの人のためだけに生きてたのなんて2013年と2016年だけで、結果私はしんどくなってやめちゃってた。好きだけで生きてきたのに、それに疲れてやめちゃってた。平気でやめられる自分がいた。もしかしたら好きじゃなかったのかも。でも多分本当に好きじゃない人ならここまで考えないと思う、本当に本当に好きだから、だから多分こんなに苦しくなって、悲しくなって、でもやっぱり好きだから、ごめんね、ごめんね、って言っちゃうんだと思う。



 ずっと特別だった。4年半の中で、特別じゃなくなった日なんてなかった。一番と呼ばなくなった時期はあった。もう嫌いだって言ってブロックしてた時期だってあった。本当に本当に、特別すぎて全部空回ってたのかもしれない。 わかんないけど。
 私の根っこを作ってくれた人、私に感情をくれた人、私の世界に色をつけてくれた人。私はあの人の持つ色でしか世界を見れない。あの人を通して見る世界しか知らない。それ以外の世界には、きっと多分、興味がない。



 中学の頃、部活は1年で辞めた。吹奏楽部だった。音楽の楽しさを、本当の楽しさを、あの人が教えてくれたから。音楽を心の底から楽しむ人の姿をこの目で見てしまったから。私はこの場所でこうはなれないと思ってしまった。どうせ音楽をやるなら、この人みたいに楽しくやりたいと思ってしまった。

 高校も1年で辞めた。やだ、私1年で辞めすぎ?
 中2の頃からの冬季うつが本気出してきて、身体が動かなくなった。何も考えたくなくて、唯一仲の良かったクラスメイトに毎日頼ってた。色んな面で頼りすぎたせいで今はもう連絡が取れない。その子のことを私は大好きだった。ずっと大好きなんだと思ってた。けど時間が解決してくれた。もうモヤモヤもしない。きっと大丈夫。あの子には、あの子なりに幸せになってほしい。あの子が幸せになれるかは別として。

 1年ほど前に東京に来た。暮らしにくいところだと思った。呼吸がしづらい。複雑に入り組んでて、なんだかずーっと嫌な感じがする。生まれ育った地に比べると変な人が多い。こわい。でも楽しかった。ここがあの人の生まれた場所。ここがあの人の歩いた道。あの人のいのちをつくった、世界でたった一つの場所。それが東京だった。田舎者の私からすれば、所謂「憧れの場所」だった。



 理由が全部あの人になった。あの人のため、あの人がしていたから、あの人が好きだから、こうすればあの人はきっと喜んでくれるから。
 でも覚えられたくなかった。私のこの好意を知られたくなかった。たくさんの経験の中で、いつかこの熱もまた冷めることを知っていたから、冷めた時を知られたくなかったのもあった。自意識過剰ではあるけれど、本当に記憶力が良い人だから。あの人の記憶の中に私はいなくていいな、と。私のことなんて知らないままでいいと思った。
 私のことを覚えるなら、最近あの人を知った可愛い女の子とかを覚えてほしいと思った。覚えられなくたって会えなくたって何も話さなくたって、きっと好きなままだから。大丈夫だと自分に言った。
 実際呆気ないくらいに大丈夫だった。だから今のこの文を書いて、会いたいな会いたいな会いたいな〜〜!と思っている。


 死ぬと思った。名前を呼ばれようものなら、握手をしようものなら、会話をしようものなら、そのまま死ぬんだと思った。あまりにも時間が空きすぎた。最後に話したのはいつだったか、ああそうだあの日は私が大好きですと伝えてしまった日だ。2013年の、11月16日。
 一人で列に並びながら自己嫌悪に陥った。死にたかった、帰りたかった。でもどうしても会いたかった、話したかった。私と、他でもない私と、会話をしてほしかった。最後だと分かっていたから、これで会うのは最後にすると決めていたからそれで良かった。勇気を出した。私の番。


 サインは断った。昔書いてもらったもので十分だった。
 数年前に比べて来てくれる人が増えたことについて触れた。その事実を私も嬉しく思っていることを伝えた。あの人は嬉しそうに笑っていて、多分初めて目を合わせて話せた瞬間でもあった。ああ、この人はこんな目でいつも私の話を聞いてくれていたのか、こんな真剣な顔をして、嬉しそうな顔をして、笑って、生きているのか。
 涙が出そうだったけど、あの人の前で泣くのだけは嫌だったから必死に堪えた。多分涙目にはなっていたと思うけど何も言われなかったから、気付かれていないことにする。

 数年前も来てくれたんだ!と言われた。そうですよ、私は数年前もいましたよ。数年前にも泣きながら見ていましたよ。数年前にも、あなたを。他でもないあなただけを見て泣いていましたよ。そんなこと言えるわけがないから、肯定の二文字だけを音にして返した。

 最後に「これからもよろしくお願いします」と言われた。きっと全員にいつも言っているのだろう。分かっている、分かっているけれど。でも嬉しかった。私の目を見て、私と目を合わせて、これからもよろしくお願いします、だなんて。そんなのずるいじゃない、ねえ、そんなの、よろしくお願いされてしまったら私またあなたのこと好きになってしまうじゃない。終わらせるために横浜まできたのに、なんでここからまた始めなきゃいけないの。意味がわからなかったけれど、幸せなことだけは分かった。やっぱり好きなんだと実感してしまった。


 話したのはほんの20秒くらい。でも一生忘れない20秒。忘れられない20秒。人生の中であんなにも緊張したことはない、人生の中でこんなにも幸せを感じたことはない、そう思える、宝物の20秒。



 私には好きなものがたくさんある。当時は別の声優さんを応援していたんだけれど、「ごめん、私やっぱり戻る」と当時仲良くしてくれていた友達に電話をした。

 ごめんね、ごめんね、私やっぱりこの人が好きだ。今もスマホで打っているだけなのに涙が出る。だいすき、だいすき、だいすき。ただひたすらにだいすきなだけ。ありがとう、だいすき。毎日毎日思ってる。



 2016年はあの人と共にあった。幸せだった。2013年に戻ったみたいだった。でも私はあの頃より大人になってしまっていた。少しだけ、背伸びをするのが得意になっていた。

 好きでいることに疲れてしまった。こんなにも好きなのになんで私はまだここにいるのか分からなくなってしまった。全部分からなくなった、なんで好きなのかも分からなくなった。分からなくなったから、会いに行かなくなった。会いに行っていないのだから、向こうから会いに来るわけもないのだから、2017年になってから一度も会っていない。


 半年経った。どうしても会いたくなった。今すぐ会いたい。会いたい、会いたい。顔を見たい、歌っている姿を見たい。私が好きになったあの人を見たい。見たい。会いたい。そう思い始めたから、今度会いに行く。最後に会ったのが2016年の12月25日。会いに行こうとしているのが来月の16日。
 きっと泣いてしまうのだと思う。分かっている、自分がどうなるかなんて分かっている。会いたくない、会ったらきっとどれだけ好きかを実感して死にたくなってしまう。分かっている、分かっている、けれど、会いたい。会いたいから会いに行く、それだけ、会いたいの、私は今、あの人に会いたいの。

 願いとは、心の道標。希望への輝き。長く果てしない、旅の支え。
 私の願いは、あの人にずっと歌い続けてもらうこと。歌うことがあの人の一番の幸せだと信じているから。あの人がそれが幸せだって言うんだ、私はそれを信じる以外の選択肢がない。
 心の道標は、あの人のそのもの。希望はあの人。夢も、あの人に託した。私のきらきらは全部あの人にあげた。私の分もきらきらしてね、って思ってる。
 長く果てしない旅、あの人への好き。その支え、好きというかけがえのない、特別な気持ち。全部あの人だった。どれもこれも、拾い上げるもの全部あの人に直結してしまった。


 つまるところ、きっと大好きなままなのだ、やめられるわけがない。2013年1月2日からずっと、ずっと、ずーーっと。特別なままだった。変わるわけがなかった。幼かった私を変えてくれた人。私に色んなものをくれた人。色んな感情を、色を、世界を、夢を、希望を、心あたたまる想い出を、素敵な出会いをくれた人。


 もう無理矢理やめようとするのはやめる、きっといつか穏やかな気持ちになって、私もあの人以外の誰かを愛してあの人以外の誰かに愛されることを幸せと呼ぶ日が来る。きっと来る。きっと来るはずだから、その日まではこんな風に大好きなままでいさせてほしい。
 何を捨てても、何が起きても、好きでいることを無理矢理やめようとするのはやめる。諦めることを諦める。しばらく。多分また「あーーーむりーーーー!すきすぎるきらいーーー!!やだーーーー!だいっきらいーーーーーーー!(めっちゃすき)」みたいなのこじらせるだろうけど全部冷たい目で見ておいてください!もう諦めてる!いつもの病気!ただの病気!



 いつか会えなくなる日は来る。いつか、幸せの形が変わるときだって来る。だからそのときまで、会わせてほしい。幸せを、幸せそのものを「あなた」と呼ばせてほしい。きっとどこにいても心の何処かに響くメロディがあれば、きっと私は大丈夫。


 結婚してようと子供がいようともうなんでもいい!好きでいさせてくれるなら、もうそれでいいの、そんなことで変わるような好きじゃないってことは自分が一番分かってる。


 分かってる、私とあの人が結婚できるわけがないっていうのは分かってる。分かってるけど夢見ていたかった。あの人の隣で目覚める朝を、あの人の声と共に過ごす日常を、あの人と食べるあたたかいご飯を、夢見ていたかった。あの人の腕に包まれる妄想を、愛される妄想を、しないわけじゃなかった。いつか選ばれる日が来るのかもなんて思っていた。いつか、何か天変地異でも起きて私と結婚してくれるんじゃないかな、とか。まあそんなこと起きるわけなかったんだけど。



 これからもずっときらきらしていますように、これからもずっと、笑っていますように。これからもずっとずっとずーっと、音の渦に飲み込まれる日々でありますように。
 他でもないあなたが、幸せな人生を送れますように。どうかどうか、幸せでありますように。そしていつか、いつかどこかで、一瞬で構わないから、その幸せのお手伝いを、少しだけでも、できますように。